酸化白色ハイ土の開発  ―県内産陶石の有効活用―

 九谷焼の素地は、ブタンガスなどを燃料にしたガス炉を利用して、酸素が少ない雰囲気で焼成(還元焼成)されますが、近年、若手陶芸家を中心に電気炉が普及してきています。電気炉は、炉内にバーナーで炎を入れることで還元焼成ができますが、大気中での焼成(酸化焼成)が主な用途となります。

 現在の一般的なハイ土(陶磁器用練土)は酸化焼成すると黄色味を帯びた色となります。このため、酸化焼成で白く焼きあがるハイ土を求める声が多くなってきています。

 白山市産出の河合陶石は、鉄分が少ないため、酸化焼成で"非常に白い"という特徴があります。この特徴を活かし、陶磁器用新材料の酸化白色ハイ土の開発を行っています。酸化焼成では、一般的なハイ土の白色度は80以下ですが、酸化白色ハイ土では85以上を目標としています(図1)。一般的に用いられている粘土や鉱物に河合陶石を30〜50%混練した試作ハイ土をベースとして、早期実用化を目指し、開発を進めています(図2)。


図1 酸化焼成色(左:一般的ハイ土、右:開発ハイ土)


図2 開発したハイ土を用いた試作品

 

担当:九谷焼技術センター 高橋 宏(たかはし ひろし)

専門:陶磁器

一言:九谷焼の伝統を守る一助になりたいと考えています。