能登大納言小豆の乳酸飲料を開発  ―発酵技術を用いた新たな用途開発へ―

 能登大納言小豆には、ポリフェノールが持つ抗酸化性や食物繊維による整腸作用などがあります。工業試験場では、石川県立大学、石川県農業総合研究センターと共同で、乳酸発酵技術により、小豆を用いた機能性素材の開発に取り組みました。

 乳酸発酵には、地域イノベーション戦略支援プログラム都市エリア型事業(文部科学省)において、石川県立大学が県内の伝統発酵食品から選定した乳酸菌を用いました。これらの乳酸菌は、血圧降下作用や抗ストレス効果等がある機能性成分「ギャバ」を作り出すことができます。この中から小豆に適した乳酸菌を選び抜き、さらにギャバが効率よく生成する条件を明らかにしました。また、発酵では不快臭が発生しますが、シクロデキストリン※)や豆乳、牛乳を用いることにより低減することができました。

 この小豆発酵物を用いた乳酸飲料の試作に(株)六星(白山市)と共同で取り組み、試飲によるアンケート調査での意見を参考に改良を加えました。

 今後は販売に向け、発酵技術の移転及び量産化への技術支援を行うほか、開発した発酵物を用いたスイーツ等への応用展開についても技術支援を行っていきます。

 なお、本研究の一部はJST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)により実施されました。


能登大納言小豆の乳酸飲料
※筒状の糖類で、内部の空洞に他の物質を吸着する性質を有する。

 

担当:化学食品部 武 春美(たけ はるみ)

専門:食品化学、食品加工

一言:食品加工副産物の有効利用を支援します。