コンクリートはく落防止用繊維シートの開発　　―劣化したコンクリートのはく落事故を防止する―

　工業試験場では、県内の繊維企業が土木資材分野への進出を推進するため、県内繊維企業・土木企業と連携し、金沢大学、県土木部の協力の下、土木用繊維製品の開発支援に取り組んでいます。

　金沢大学等の土木分野有識者との意見交換から、今後、トンネルや橋梁等のコンクリート構造物の老朽化等により補修・補強事業が拡大するとの情報を得ました。そこで、具体的な開発ターゲットとして、コンクリートはく落防止用繊維シートを選定しました。これは、劣化したコンクリート構造物に繊維シートを貼り付け、コンクリート片のはく離や落下による事故を未然に防ぐ為のものです。

　これまで繊維企業と土木企業によるジオテキスタイル研究会を開催し、情報交換の場を設けると共に、研究開発体制を構築してきました。この中で、工業試験場は共同開発した繊維シートの評価試験を行っています。また、県土木部の協力のもと、穴水町のトンネルで開発した繊維シートの施工試験を行い、現在も評価試験を継続中です。

　工業試験場では県内繊維企業が異分野へ進出する為の開発支援やコーディネートを行っています。異分野進出へのチャレンジ精神をお持ちの方は、ぜひご相談ください。


繊維シートを用いたトンネルのコンクリート補修工事

 

担当：繊維生活部　奥村　航（おくむらわたる）

専門：繊維工学

一言：繊維製品を異分野へ展開させることを支援しています。