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 振動ふるいバケットの開発
 株式会社室戸鉄工所 升崎 英二*

■技術開発の背景
 近年、油圧ショベルのアタッチメントは多様化しており、特に、土砂を選択・分離する
“ふるい”タイプのアタッチメントが製品化されつつある。しかし、従来の製品では、土砂をふるい落とすまでの時間が長く、作業効率等の問題が生じていた。
 そこで、当社では、ふるい作業を高速で実現ができる新方式の「振動ふるいバケット」の開発に取り組んだ。

■技術開発の内容
 開発した「振動ふるいバケット」は、バケットの中に前後に振動する“ゆりかご”を設置した構造となっており、このゆりかごの振動高速化と耐久性の向上を両立することが、技術的課題となっていた。そこで、石川県工業試験場の協力を得て、実稼動時に発生する負荷状況の計測(図1参照)を行い、作用する衝撃荷重を求め、その衝撃荷重により疲労破壊にいたる繰り返し数を定量化し、強度設計の基準を策定した。
さらに、(図2)に示す有限要素モデルを用いたシミュレーションによる強度評価を実施しながら、高強度構造の開発を行った。また、開発した高強度構造の実稼動状態時のひずみ測定(ストレインメータテスト)を行い、強度設計基準を満足していることを確認した。
(図1 実稼動試験)
(図2 有限要素モデル)

■製品の特徴
 「振動ふるいバケット」は(図3)に示すようにバケット、ゆりかご、振動シリンダにより構成され、この振動シリンダにより、ゆりかごを前後に作動させ、土砂等をふるい分けする機能を有したアタッチメントである。従来の製品と比べ、高速でふるい分けが可能となり、土砂やゴミの除去・分離、除磔や玉石の採取、選別など、幅広い用途に期待できる製品となっている。
(図3 バケットの構造)

■今後の展開
 現在までに、「振動ふるいバケット」は、建設現場での分別・リサイクルの向上、砕石現場の採集効率化、海岸線の美化運動等、いろいろな状況下で稼動している。今後は更に特殊な状況下で使用可能な製品の開発を行っていく予定である。



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