細孔分布測定装置の活用事例  ―珪藻土などの多孔質材料評価に有効―

 多孔質材料は、様々な大きさや形状をした気孔(穴)を活かして、フィルターや吸着材、電池材料など環境・エネルギー分野の重要な部材として幅広く利用されています。石川県能登地方では多孔質材料の一つである珪藻土が産出され、その多孔性を活かしコンロ、断熱れんが、壁材として利用されています。特に壁材は、能登珪藻土が持つ吸放湿性を利用していますが、今までその特性に関与するナノオーダの気孔を確認することはできませんでした。

 工業試験場では、このような気孔径の分布を測定する装置を導入し、能登珪藻土の吸放湿性に関する評価を行いました。図は生珪藻土と焼成珪藻土(1000℃)の細孔分布を示しています。生珪藻土には吸放湿性に関与する10nm(ナノメートル)以下の気孔が確認され、焼成(1000℃)するとこれらの気孔が減少しています。この結果から今まで確認できなかった吸放湿性に関与する気孔の存在や、焼成による吸放湿性の変化を明らかにすることができました。今後さらに、吸放湿性壁材として能登珪藻土の積極的な活用が期待されます。

 工業試験場では細孔分布測定により、多孔質材料の特性解明を支援しています。ぜひ、ご利用ください。

 


生珪藻土と焼成珪藻土(1000℃)の細孔分布

 

担当:化学食品部 佐々木 直哉(ささき なおや)

専門:無機材料

一言:粉体の物性評価の際はお気軽にご相談ください。