複合材のロボット切削加工技術  ―ロボットによる導入コストの削減―

 金属の代替材料として利用が拡大しつつあるCFRP※1やGFRP※2などの複合材は高強度です。しかし、切削に必要な力(切削力)はステンレス鋼やアルミ合金に比べて、1/2〜1/4程度と意外に小さなものです(図1)。そのため、複合材の切削には、工作機械に比べ剛性の低い産業用ロボットでも適用可能と考えています。これにより、従来の工作機械に比べて導入コストの削減が図られることや、設備の占有面積も小さく抑えられるなどの経済的メリットがあり、今後普及が期待されます。

 工業試験場では、メカトロ・アソシエーツ(株)(小松市)と共に複合材切削加工ロボットシステムの開発(中小企業庁:H23 グローバル技術連携・創業支援補助金事業)に取り組みました。これまでに、GFRPパネル材の切削加工に適した工具(エンドミル)の選定を行い、産業用ロボットによる加工実験(図2)を行った結果、工作機械と同等の加工品位が得られ(図3)、良好な加工が行えることを確認しました。

 工業試験場では、今後も本開発を含め複合材の切削加工に関する技術支援を行います。

 

※1:炭素繊維強化プラスチック、※2:ガラス繊維強化プラスチック

 

図1 切削力の比較 図2 加工風景

 


図3 切削加工部の観察写真(加工物:GFRP)

 

担当:機械金属部 山下 順広(やました よりひろ)

専門:機械加工、精密測定

一言:複合材の切削加工を支援します。