米を原料とした乳酸菌飲料の商品化  ―石川県独自の機能性乳酸菌の活用―

 伝統発酵食品の中では、様々な種類の乳酸菌がその風味の形成や保存性の向上に関与しています。工業試験場ではこれまで、石川県立大学などと連携し、県内伝統発酵食品に存在する乳酸菌について研究を進めてきました。この研究で分離された乳酸菌「ラクトバシラス・プランタラムANP7-1株」は、動物実験において健康維持効果が明らかとなりました(文部科学省:地域イノベーション戦略支援事業)。

 そこで、この菌株を活用し、(株)福光屋(金沢市)と共同で米を原料としたヨーグルト風味乳酸菌飲料の開発に取組みました。開発の中で工業試験場は、米の糖化物を用いて風味の良い発酵・殺菌条件を決定しました。さらに、企業での製造試験に立会い、分析機器(有機酸分析計等)を活用したデータ収集や微生物の管理に関する技術(衛生管理や保存試験)の支援を行いました。その結果として、米由来のブドウ糖の自然な甘味と乳酸の爽やかな酸味がマッチしたノンアルコール飲料が、平成25年2月末に商品化されました。

 今後も県内企業と連携し、この機能性乳酸菌を活用した新商品の試作開発を支援していきます。

 


商品化された米を原料としたヨーグルト風味飲料
(「ANP71」 (株)福光屋製)

 

担当:化学食品部 辻 篤史(つじ あつし)

専門:応用微生物、食品衛生

一言:伝統食品を科学的に捉え,商品開発に生かします。