再生可能エネルギーを利用した照明装置  ―平常時は広告塔、災害発生時は非常灯に―

製品化した装置

 東日本大震災以来、災害に強い街づくりが求められています。そこで、(株)フタキ鉄工(白山市)と共同で再生可能エネルギーを利用した照明装置を開発し、製品化しました。この装置は、商用電源が不要で、照明に必要な電力を風力発電と太陽光発電でまかないます。平常時は夜間照明が可能な広告塔、災害による停電時は非常灯として機能するだけでなく、携帯電話に充電ができ、通信手段を提供します。

 この開発に当たり主な課題は、住宅地内の避難所に設置できるような静音性と安全性の確保でした。まず、4枚の平板を羽根(400×1550mm)とする垂直抗力型風車を開発しました。この風車は、風切り音が少ないので静音性に優れていますが、風速や風向によっては上手く回転しないためエネルギー効率が低いという課題があります。そこで、この風車と、風車に接続する発電機の特性を測定し、この特性から発電機の電圧−電流を最適化する風力発電制御回路を開発しました。この回路によって微風から強風までのあらゆる風速・風向で羽根を回転させ、適切に電磁ブレーキを掛けながら発電ができるようになりました。

 2年間の実証実験により、どの季節でも夜間照明が可能であることを確認し製品化しました。今後は、災害発生時のWi-Fi基地局への電力供給など、広告塔以外の用途開発を行います。

 

小型風力発電の風車は、風向に対して風車の回転軸が垂直なものを垂直型、また、帆船のように風向と同じ向きの力を利用するものを抗力型として分類されます。

 

担当:電子情報部 上田 芳弘(うえだ よしひろ)

専門:情報処理、ソフトウェア

一言:災害に強い街づくりのための製品の開発を。