ファイバ集積型半導体レーザを開発  ―金属と樹脂のレーザ溶着に応用―

 電子製品や医療器具などでは機器の小型化や多機能化に伴って金属と樹脂を複合した微細な部品が求められています。レーザ加熱を利用して金属と樹脂を精密に接合すると接着剤が不要となるので、特に異物の混入を嫌う医療器具の分野に適しています。

 そこで、工業試験場では(株)村谷機械製作所(金沢市)と共同で、接合部分の形状に合わせてレーザ光の照射範囲を設定できるファイバ集積型半導体レーザを開発しました。

 図は、レーザ光の照射形状を直線パターンに調整したファイバ集積型半導体レーザであり、これを4台用いたマルチビームで金属パイプと樹脂チューブの溶着実験を行いました。全レーザ光を同時に照射することによって接合部全周を一括加熱でき、部材の回転なしで溶着することが可能になりました。また、接着剤を用いる手法と同等以上の接着強度が得られます。これにより、接合時間の短縮と、回転機構を用いないことによる機械装置の低コスト化が期待できます。

 照射形状を最適化できるファイバ集積型半導体レーザはレーザ加工の品質とコストの両立に有効であり、その応用展開を図っています。


ファイバ集積型半導体レーザによるレーザ溶着

 

担当:機械金属部 舟田 義則(ふなだ よしのり)

専門:レーザ加工、精密測定

一言:新技術で県内企業のものづくりを応援します。