珪藻土れんがの品質安定化  ―カルシウム素材添加により脱硫効果にも期待―

 900〜1000℃で使用する耐火断熱れんがの原料として能登珪藻土が利用され、「珪藻土れんが」として主に鉄鋼の高炉や焼却炉などの断熱材として用いられています。能登珪藻土は、珪藻殻以外に粘土鉱物を含んでいるため能登珪藻土のみで押出し成形が可能です。しかし天然鉱物由来の組成変動による品質のバラツキや、原料にわずかに含まれている硫黄分による焼成時の亜硫酸ガスの発生が課題でした。

 工業試験場では、これらの課題を解決するため、能登珪藻土とカルシウム素材を混合・焼成し、石膏(CaSO4)を析出させる方法について検討しました。図は、電気炉で焼成温度を変えて試作した珪藻土れんがの再加熱収縮率とかさ比重の変化を示します。焼成温度の上昇とともに再加熱収縮率は減少し、かさ比重は増加する傾向を示しています。この結果から1000℃使用の珪藻土れんがの規格であるかさ比重0.7以下、再加熱収縮率2%以下を満たす最適な焼成温度は950℃付近であることが分かりました。また焼成後の珪藻土れんがには石膏が析出しており、3割程度の脱硫効果もあることが分かりました。

 現在、関係企業と実炉における焼成条件の最適化など実用化に向けて取り組んでいます。


(a)珪藻土れんがの焼成温度による再加熱収縮率とかさ比重の変化、(b)珪藻土れんがの試作品

 

担当:化学食品部 佐々木 直哉(ささき なおや)

専門:無機材料

一言:能登珪藻土の知名度向上に繋がればと思います。