鮮やかな白漆・青漆の開発  ―パール顔料を用いた新しい色漆―

 漆液は、乾燥して塗膜になると暗い茶褐色になるため、赤色系以外の顔料で着色した色漆については、発色性の改良が課題となっていました。

 工業試験場では、従来の顔料より輝度の高いパール顔料(光を反射する雲母材)を用いて、鮮やかな白漆・青漆の開発を行いました。漆と顔料の配合比や混練条件等について検討した結果、従来の漆塗膜と比べて、白漆、青漆ともに発色が良くなりました。さらに、促進耐光性試験により色変化の低減効果を確認できました(図1)。

 また、開発したパール漆を用いた漆器を試作し、これまでの漆にはない色味が好評を得ています(図2)。

 今後は、本研究で得られた結果を基にして、開発した漆の商品化を図るとともに、さらに新しい用途展開についても技術支援して行きます。



 
図1 促進耐光性試験した漆塗り板   図2 開発した漆を用いた試作品

 

担当:繊維生活部 梶井紀孝(かじい のりたか)

専門:漆製造、工業意匠

一言:漆の新しい技術、製品の開発を目指します。