排便検知システムを試作  ―おむつ交換の必要を判断・通知―

 寝たきりの患者や認知症患者の排泄処理は、介護者の負担となっています。尿の場合は、おむつで吸収しますが、量が多くなると漏れが発生し、便の場合は、長時間放置されると、皮膚のかぶれ等の原因になります。病院では、定期的におむつを点検・交換することで、排泄の放置を防止しています。ただし、排泄のない場合でも、おむつを点検する必要があるため、介護者の負担となっています。

 そこで工業試験場では、北国インテックサービス(株)、(株)エフイーシー等との産学官連携により、排便を検知し、介護者へ通知する『排便検知システム』を試作しました((財)石川県産業創出支援機構:産学・産業間連携新豊かさ創造実用化プロジェクト推進事業)。

 本システムでは、図のようにおむつに取り付けた温度センサの計測データを無線タグによって端末に送り、温度変化パターンから排泄の有無や種類(尿、便)を判断します。複数の温度センサを使用することで、便や尿の排泄は90%以上を検知し、このうち便の特定は約80%と良好な結果を得ました。また、無線通信を利用しているため配線が不必要で、病室などでの使用が容易になったほか、端末1台で最大36名を同時に見ることができるようにしました。

 今後、製品化のために、無線タグ電池寿命の長時間化など、介護者が利用しやすいシステムへ改良する予定です。



 
無線タグ付きおむつ   モニタ上の表示例(便を検知した場合)

□排便検知システム

 

担当:電子情報部 奥谷 潤(おくたに じゅん)

専門:光電材料、電子デバイス

一言:患者の不快感、介護者の負担の軽減を目指します。