高密度DLC膜の開発  ―表面が超平滑でダイヤモンド並みの硬さを実現―

 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜は、各種切削工具や金型などの耐久性を向上させるためにコーティングされていますが、近年ではさらなる高寿命化が求められています。そのため、工業試験場では、これまでのDLC膜よりも高密度で、硬度や摩擦係数の優れたDLC膜の研究開発に(株)オンワード技研(能美市)と共同で取り組みました(科学技術振興機構:研究成果最適展開支援事業(育成研究))。

 高密度DLC膜は、水素を含まないアモルファス構造の硬質炭素膜であり、従来DLC膜の4.5倍(ダイヤモンド並み)である90GPaの高硬度と、約1/3である0.01の油中摩擦係数を実現できました。この高密度DLC膜の応用として、カムなど油中で摺動する機械部品、切りくずが凝着しやすいアルミ向けの切削工具、成形品の離型性が求められる光学レンズ用の金型において有効性を確認しました。

 今後は、応用範囲をさらに拡げた新製品開発の技術支援を行っていきます。ご興味のある方は、お気軽にご相談ください。


図1 切削工具への適用
 
図2 従来膜と開発膜の硬度比較

 

担当:機械金属部 安井治之(やすい はるゆき)

専門:表面処理、トライボロジー

一言:新たな表面処理技術の開発を目指しています。