電子機器の不具合解析を高精度化  ―断面試料作成装置を導入―

 電子機器の不具合の一つに、はんだ付けの剥離があります。剥離がどこで起きたかを調べる場合、該当箇所を厚さ方向で切り出した断面試料を作成し、剥離箇所断面の観察や成分元素を分析します。例えば、はんだとめっきの接合面で剥離した場合は部品やプリント基板の管理工程に着目し、プリント基板電極のめっき部で剥離した場合はめっき工程に着目することで、原因の特定と改善を図ることができます。

 従来の機械研磨により作成した断面試料では、図左の光学像のように研磨傷が残ります。また、銅、アルミ、はんだ、高分子など異材が混在している層状の試料では材料の硬さが違うため、数μm以下の膜厚になると層と層の境界が分からなくなる現象(ダレ)等の問題がありました。これは機械研磨時に表面に力が加わるためです。当場では、この力を抑えることができるイオンビームにより、表面を薄く除去する断面試料作成装置(日本電子(株)クロスセクションポリッシャSM-09010)を導入しました。同装置を用いることにより、図右の断面画像のように機械研磨の傷やダレのない、平滑な断面試料を作成できます。また、イオンビームを観察したい特定箇所に当てることができるため、極微小領域においても、断面の観察や分析に適した試料を作成できます。

 本装置を活用し、電子部品等の不具合解析について、より一層の支援を行っていきます。

 


断面試料(左:機械研磨、右:イオンビーム加工)
(提供:日本電子(株))

 

担当:電子情報部 筒口善央(どうぐち よしてる)

専門:電子材料

一言: 不具合解析の際はお気軽にご相談ください。