電子機器の信頼性試験  ―急激な温度変化の繰り返しにより耐久性を評価―

 電子機器の信頼性を短時間で評価する試験方法として、高温と低温の間で急激な温度変化を繰り返す温度変化試験があります。電子機器は金属やプラスチックなどの色々な材料で構成されるため、温度が変化すると、種々の材料における熱膨張係数の違いにより、熱ストレスが蓄積し、異種材料の接合面で破断等による故障を起こしやすくなります。信頼性評価には長い時間が必要となるため、使用温度範囲0〜40℃の製品を例に挙げると、試験温度範囲を3倍の-40℃〜80℃にすることで、2乗の約9倍に熱ストレスを加速でき、約1/10に時間短縮が図れます。

 工業試験場では、この温度変化試験を行う冷熱衝撃試験機や小型環境槽を企業に開放しています。 それぞれの機器による試験の特徴は次の通りです。

(1) 冷熱衝撃試験機(温度急変試験)
  下図(a)の様に、温度変化の傾きが急なため、数分という短時間で熱ストレスを与えることができます。
(2) 小型環境槽(温度定速変化試験)
  下図(b)の様に、温度変化の傾きを一定にでき、槽内の温度分布ムラが小さく、試料の数やサイズ影響を受けにくいため、再現性のある試験ができます。

 また、電子機器の耐久性評価のほか、故障原因を特定するための再現試験にも利用できます。
これらの試験機器を是非、ご活用ください。 



温度変化試験方法の違いによる槽内温度の実測例
(JIS C 0025 環境試験方法(電気・電子)温度変化試験方法による)

 

担当:電子情報部 筒口善央(どうぐち よしてる)

専門:電子材料

一言:電子機器の信頼性試験の際は、お気軽にご相談ください。