小型ハイブリッド油圧システムの開発  ―狭小空間作業ロボットへの応用を目指して―

 油圧は、大きな力を迅速かつ正確に伝達・制御できることから、建設機械など重厚長大な装置に利用されています。一般的な油圧システムでは、ポンプで常に高圧油を流しながら途中の弁の開閉でアクチュエータを駆動するため、アクチュエータ停止時の無駄なエネルギー消費が大きいといった問題があります。

 工業試験場では、この問題点を解決する技術としてハイブリッド油圧システムに注目しました。このシステムは、電動モータでポンプの動きを精密に制御することで、アクチュエータの動きに必要な分だけの油圧を供給するシステムです。そのため、無駄なエネルギーの消費が無く、さらに、油量が必要最小限で済むことから、油圧システムを小型・軽量化できる利点もあります。

 今回は、この利点を活かし、管内(ø300mm以下)などの狭小空間において、穴あけ作業等を行なう移動型ロボットへ応用可能な小型ハイブリッド油圧システムを試作しました。ø80oの回転工具を用いて実験を行なった結果、厚さ9oの塩化ビニール管の穴加工ができ、位置決め分解能は0.05mmまで可能なことを確認しています。今後は、システムを改良しながら、多くの分野への応用展開を図りたいと考えています。


加工試験システム
小型ハイブリッド油圧システム(試作機)

 

担当:機械金属部 中島明哉(なかしま あきちか)

専門:ロボティクス、自動化

一言:ハイブリッド油圧システムを使ってみませんか。