GC/MSを用いた食品の異臭分析  ― クレーム対応への活用事例 ―

 最近、食の安全・安心を揺るがす事件が多発しており、消費者も今まで以上に食品に対して敏感になっています。食品メーカにおいては、日常の品質管理は勿論のこと、異味・異臭等のクレームへの迅速・適切な対応がますます重要となってきています。異臭の表現は、「つんとする」、「かび臭い」といったように曖昧であり、人それぞれの感じ方に依存することから、原因を探ることが難しいケースが多々あります。そこで異臭原因の追求と対策に役立つのが、GC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)による分析です。

 ある製品に「つんとする」との異臭クレームがあり、工業試験場で分析した事例を紹介します。同ロットの正常品と異臭品について、それぞれ濃縮捕集した食品の匂い成分を本装置で分離検出した結果、下図に示すように異臭品には正常品では見られない成分が認められました。この成分について、質量分析データ(質量を電荷の数で割った値を使用する分析データ)をもとに、既知成分とのマッチング解析を行ったところ、酢酸と推定されました。この結果から、腐敗により酢酸が生成し異臭の原因となったことが予想され、以後の対策も立てやすくなりました。

 食品の異臭分析でお困りの際は、是非ご相談ください。

分析例:異臭品から酢酸が検出された例。

 

担当:化学食品部 勝山陽子(かつやまようこ)

専門:応用微生物、食品化学

一言:異臭クレーム対応に威力を発揮する装置です。