機械電子部品の複合振動試験  ― 環境試験への対応 ―

 機械部品や電子部品など製品は、使用環境によってその信頼性・耐久性は大きく左右されます。そのため、これらの性能を保証するには、事前に製品が受けると予測される環境ストレスを試験室で擬似的に再現し、性能の劣化が生じないことを確認する必要があります。

 製品がストレスを受ける環境は、製品により違いますが、(1)気象的環境として温度、湿度、天気、日射など、(2)動的環境として振動、衝撃、強風など、(3)その他の環境として腐食性ガス、かびなどが考えられます。また、これらが複合して製品に環境ストレスを与えることになります。
環境ストレス試験は、短時間で、どこで試験しても同じ結果が得られる必要があります。この要件を満たし、環境ストレスとして影響の大きな項目は、温度、湿度、振動の3つが挙げられます。このことから、製品の環境試験として振動試験および温度と湿度を付加した複合振動試験が多く実施されています。

 振動試験に関する日本工業規格では、電気・電子製品に対するJIS C 60068-2-6、包装貨物に対するJIS Z 0232が代表的なものです。特に包装貨物に対するJISは2004年に規格が改訂され、これまでの正弦波掃引加振試験が図1に示すようなランダム加振試験となり、正弦波加振試験は参考となりました。これは、輸送時に製品が受ける振動は一定の周波数でなく、様々な周波数成分を含んでいるため、実際の環境に近い状態の試験をするためです。また、振動試験の規格はメーカー等が独自で決めている場合も多くあります。

 工業試験場では、電子機器等の小型軽量製品だけではなく、大きく重量のある製品にも対応するため、これまでの振動試験機を拡充し、2007年度に図2に示す複合振動試験機を導入しました。この試験機の仕様は表1のとおりで、温度、湿度、振動の環境ストレスを同時に製品に与えることができます。また、水平台を設置したことにより、取付方向を考慮した水平加振が可能となりました。さらに、内寸1200mmの環境槽も備えており、大物の複合試験にも対応しています。

 当試験機の導入により、電子部品、梱包物等の振動試験、100kgを越える重量物の振動試験も増加してきています。

 工業試験場では、企業の皆様がご利用しやすいように振動試験機を開放試験機器としています。ご興味をお持ちの方は、ぜひご相談ください。

図1 ランダム試験の目標と応答 図2 複合振動試験機本体
   
表1 複合振動試験機の仕様
 

 

担当:機械金属部 新谷隆二(しんたにりゅうじ)

専門:繊維機械、騒音振動測定、流体力学

一言:あなたの製品に振動試験は不要ですか?