熱分析(ダイナミックTG)とその活用事例　　― 熱処理条件の最適化に有効活用 ―

　陶磁器、瓦及びファインセラミックス製品などの製造工程において、熱処理過程は必要不可欠です。この熱処理条件を決定する際、熱分析は有効な手段の一つとなります。熱分析の方法としては、温度変化に伴う試料の質量変化を測定する熱重量測定（TG）や、基準物質との吸発熱量の差を測定する示差熱分析（DTA）などがあります。最近、TGにおいて、より精密な温度制御を行う試料制御熱重量分析（ダイナミックTG）が注目されています。

　ダイナミックTGでは、脱バインダーや化学反応の正確な温度と重量変化を測定することが可能です。例として硫酸カルシウム二水和物（CaSO4・2H2O）での脱水反応の測定結果を図に示します。ダイナミックTGを用いることで、脱水反応が、(1)106℃、(2)113℃の2段階で起こることがわかります。

　工業試験場では、依頼試験でこれらの熱分析試験に対応しています。ご利用の際はお気軽にご相談ください。


硫酸カルシウム二水和物の測定結果

担当：化学食品部　佐々木直哉（ささきなおや）

専門：地球科学 陶磁器

一言：セラミックス材料における熱分析は、重要な手段の一つです。お気軽にご相談ください。