うるさくない音声案内を実現  ― 人の行動と周囲の音に応じた音声案内 ―

 公共的な施設ではバリアフリー化が義務付けられ、エレベータや券売機、案内板などの様々な設備機器に音声案内がつくようになりました。しかし、この様に「障がい者のために必要」と考える一方で、「うるさい」といった騒音の問題が指摘されはじめたため、工業試験場では、音声案内が騒音とならないようにする対策技術を開発しました。

 従来の音声案内が騒音をもたらす原因としては、何度でも同じ人に案内を繰り返す「過剰な案内」や、静かなときでも大きな音量で案内する「過剰な音量」が考えられます。

 そこで過剰な案内に対しては、人検知エリアの異なる2個の焦電型赤外線センサを用いて人の行動を判断し、案内するタイミングを絞り込むことに成功しました。これにより過剰な案内を減少させることができました。また過剰な音量に対しては、音声案内装置にマイクを取り付け、周囲の音量を測定しながら案内の音量を調整する機能を開発しました。

 工業試験場では、これらの騒音対策技術をレハ・ビジョン(株)(能美市)が製造・販売しているトイレ内音声案内装置「ポッチ」に移転しました。また、同装置はこのたび改装された石川県立美術館の多目的トイレに設置されました。 他の音声案内を組み込んだ機器にも転用が可能ですので、是非ご相談ください。


設置例(県立美術館の多目的トイレ)

担当:電子情報部 前川満良(まえかわみつよし)

専門:システム制御、自立支援機器

一言:誰もが使いやすい機器・道具が普及し、誰もが暮らしやすい社会が実現できるよう、 様々な技術開発を進めています。