X線CTによる製品内部の可視化  ―不具合原因の解析や製品改良に利用―

 工業試験場では、平成16年度にマイクロフォーカスX線TV・CT検査装置 (*1)を導入しました。現在、不具合の発生した電子部品、開発中の機械部品等の内部構造の非破壊検査や観察に数多く利用されています。

 本装置の特徴として、マイクロフォーカスと呼ばれる点から放射状に拡がるX線を利用していることが挙げられます。試料をX線源に近づけて設置することで、細かい構造を見ることができ、数ミリ程度の小さな試料であれば、装置分解能の5μmで観察できます。図に示した試料は、金属よりも画像化しにくいエポキシ樹脂製ですが、小さな空隙までくっきりした画像を得ることができます。

 以下に最近の検査事例を2つ紹介します。

(1)樹脂封止された電子部品中の短絡箇所の特定

 大きさ10mm程度で回路形成後に樹脂封止したコイル部品の不具合解析に本装置を利用しました。検査の結果、ハンダ粒子による回路の短絡箇所が特定でき、問題解決を図ることができました。

(2)鋳造品のひけ巣やピンホール位置などの確認

 鋳造品内部の空隙(ひけ巣)の発生位置を検査するため、本装置を利用しました。空隙の発生状態を3次元で可視化することができ、注入経路などの製造工程改善への参考とすることができました。

 これらの例のように製品の不具合検査や原因究明のため、本装置をぜひお役立てください。

(*1)http://www.irii.go.jp/infor/2005_0101/topics1_1.htm 参照


空隙観察画像
エポキシ樹脂製、1辺8mmの立方体にΦ0.3〜0.5mmの穴を開けた試料の斜断面を表示

担当:電子情報部 笠原竹博(かさはらたけひろ)

専門:信号処理、電子計測

一言:非破壊検査にご利用下さい。