燃料油分解微生物を分離  ―A重油の油膜・油臭成分を2日間で8割以上分解―

 近年、工場やガソリンスタンドなどの跡地において、油汚染された土壌が見つかり問題となっています。微生物を用いた土壌修復は、土壌を掘削・除去することなくその場で浄化できるため、低コストで効果的な修復手法として注目されています。また、油汚染土壌を短期間で修復するためには、その土地に合った油分解能力の高い微生物を使用することが有効であるため、全国各地で探索が行われています。

 工業試験場では、県内各地より土壌を採取し、燃料油を分解する微生物を探索してきました。その結果、工業試験場の敷地内で採取した土壌から、A重油の分解活性を示す微生物を複数分離しました。これらの微生物は、半日程度でA重油の油膜を消滅させ、2日間で油膜や油臭の成分を8割以上分解できることが分かりました。

 今後は、分離微生物の同定や安全性評価を行い、製剤化条件を検討した後、土壌修復技術研究会等をとおして油汚染土壌の修復に活用していきたいと考えています。


微生物の分離から土壌修復までの流れ

担当:化学食品部 井上智実(いのうえともみ)

専門:微生物工学

一言:環境浄化分野で微生物の利用が広がっています!