デザイン支援システムの開発  ―工芸素材の質感表現・感性評価技術を応用―

 近年、生活や価値観の多様化などにより、伝統工芸品の開発には審美性や機能性の追求だけでなく、顧客の感性価値に対応するデザイン提案力が強く求められています。また、伝統工芸産業のほとんどが分業制であることから、作り手・売り手・買い手の意思疎通と商品イメージの共有が大変重要になります。このような背景から、高精細な三次元CGシステムに北陸先端科学技術大学院大学が研究する消費者の感性評価技術と高品位な質感表現技術を組み込んだデザイン支援システムの開発を試みました。

 本システムには、県を代表する伝統工芸素材(漆器、九谷焼、金箔)の形状、質感、文様データ約300種を搭載し、性別や年代ごとの嗜好に応じて素材が選択される感性評価支援システムを搭載しました。また、システムの実用化には企業独自のデータベース構築が必須と考え、普及率の高い三次元CAD・CG、デジタルカメラ、スキャナー等から容易に新規データの入力ができるようにも工夫しました。

 本システムの利用により、企業内や顧客との間で互いの要求や感性に応じて迅速なデザイン検討が行えるほか、試作費や誤発注の軽減、遠隔地間の商談、家電やインテリア産業など異業種とのコラボレーションの促進も期待できると考えています。

 なお、本研究は文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業(平成17-19)における研究成果です。


デザイン支援システムの操作画面

担当:繊維生活部 高橋哲郎(たかはしてつろう)

専門:工業デザイン、福祉工学

一言:製品開発には、ユーザーの志向や感性、身体特性等にフィットしたデザイン提案力が必要不可欠です。多くのご相談をお待ちしています。