繊維表面をナノ改質
〜酵素を固定化した繊維素材を開発〜


 酵素は、特定の化学反応に対する触媒作用を有するタンパク質で、常温・常圧下で反応が進行し、環境や生体に対する安全性にも優れます。この酵素を、繊維など表面積の大きな担体に固定化することにより、酵素の安定性と反応効率が増し、酵素を使い捨てせずに繰り返し使用できます。酵素の種類を選択することにより、水中または空気中における種々の有害物質や難分解性物質を分解する繊維フィルターとしての応用が期待できます。
 今回、研究成果活用プラザ石川の平成15年度FS委託研究において、ポリエステル繊維表面に加水分解酵素を固定化させる技術を開発しました。酵素として、糖を分解するインベルターゼ、油を分解するリパーゼ、デンプンを分解するアミラーゼを試験的に使用し、ポリエステル織物を薬品で前処理して表面を活性化した後、酵素水溶液に浸漬して酵素を固定化させました。また、酵素活性に対する各種要因(水洗回数、連続使用時間、界面活性剤添加量、基質温度など)の影響についても検討し、固定化酵素の耐久性に関する基礎データを得ました。
 今後は、固定化酵素の種類を変えながら機能性を評価し、実用化に向けた応用研究を行っていきます。

酵素固定化繊維のイメージ


担当 繊維生活部 守田啓輔(もりたけいすけ)
専門 繊維・高分子材料
一言 機能性繊維にご興味のある方は、ぜひご連絡下さい。



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