技術ふれあい’98
バイオエレクトロニクス技術を用いた
新しい環境計測・評価システム
株式会社 イシメックス 技術部 部長  内潟 甚一郎  松井 暢人
村橋 瑞穂  根上 邦春
石川県工業試験場 化学食品部  宮本 正規
北陸先端科学技術大学院大学 民谷 栄一  北川 圭

■技術開発の背景

 現在、各工場排水は水質汚濁防止法にてBODで規制されているが、その測定には煩雑な前処理を必要とし、再現性を得るために技術を要する。また、結果が分かるまでに5日間要する。このような状況から、簡便かつ迅速なBOD計測システムの開発が望まれていた。

■技術開発の内容

 微生物を使用したBOD計測用バイオセンサーは、既にJISK3602に採用されているが、これは微生物と隔膜型酸素電極を組み合わせた装置である。
 一方、我々の開発した装置はこの原理と全く異なり、海洋発光微生物と発光検知デバイスを組み合わせたものである。この発光型バイオセンサーに有機物を含む試料水を注入すると、微生物が有機物を資化し、図1のように発光量が増加する。この増加発光量は、有機物の濃度と相関性があるため、これを指標としてBOD値を推定できる。

■製品の特徴

 BOD値推定に要する測定時間は最短5分である。また、装置は温度制御機能を有し、外気温に左右されることなく微生物に最適な温度を保持し安定な測定が可能である。さらに多点同時測定が可能(最大7点)で、測定作業の効率化につながる。

■今後の展開

 フィールドテストを行い、実用化の最終段階に向けて検討中である。装置は、操作性の向上、低価格を課題として、さらに改良を重ねていく。
 なお、本研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から中小企業事業団が受託して実施する中小企業創造基盤技術研究事業No.8-11「バイオエレクトロニクス技術を用いた新しい環境計測・評価システム」に係わる研究成果である。


代表者名 株式会社イシメックス 代表取締役社長  高橋 稔
住所 〒920-3116 金沢市南森本町リ95番地
TEL 076-258-6681 FAX 076-258-6682

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