技術ふれあい’98
人工軽量骨材及びその応用製品の開発
金沢生コンクリート株式会社
 常務取締役 北村 義治

■技術開発の背景

 我々に大変便利な生活をもたらしている工業生産技術の進歩は、同時に、生産に伴う産業廃棄物の発生量をも増加させ、1年間に3億トンを超えるようになった。廃棄物の処分を埋立てに頼ってきた我が国では、国土の小ささと廃棄物の一部には有害物質を含むものもあることから、処分地の確保が非常に困難となっている。年間300万トンのコンクリートスラッジを排出する生コン産業でも、数多くの減量化の試みがなされているが、決定的な有効策となるまでには至っていない。
 使い捨てを続けて天然資源を枯渇化させ、便利さの恩恵を享受している我々が、廃棄物を埋立て処分して、「負の遺産」として後世に残す。人類の歴史が永続するための絶対条件は、豊かな自然環境を次世代に伝え、「負の遺産」を残さないことである。そのためには、廃棄物の減量化とリサイクルに関する技術の開発が現代社会のニーズであり、不可欠な課題である。

■技術開発の内容

  1. 異業種から発生する、複数の産業廃棄物の特性を組合わせて、リサイクルする。3種類の廃棄物の成分特性(コンクリートスラッジのカルシウム、鋳造廃砂のシリカ、浄水場スラッジのアルミナ)を、所定の比率で混合・焼成し、人工骨材を製造するもの。
  2. 使用廃棄物の分析、最適混合比率の把握、最適焼成温度及び時間の把握。(基礎研究)
  3. 製造工程及び設備の開発・設置、試作品の製作、応用製品の開発。(実証研究)
  4. 試作した製品は、大量の消費と長期間のストックが期待出来る、人工軽量骨材、透水性平板、多自然型ブロック等とした。
  5. 試作品の区分、品質は JIS A 5002 の総ての項目を満足。

■製品の特徴

  1. 産業廃棄物を原料としながら、天然資源を使用した製品を上回る強度、性能を持つ。
  2. 産業廃棄物の減量で、自然破壊を伴う処分地を減らすことに寄与し、天然資源の代替使用による資源の保護、採取のための自然破壊の減少に寄与し得るものである。
  3. 工業生産につきものである、産業廃棄物の発生も、原料化するためゼロである。
  4. この技術開発に関する工業所有権は、取得済み1件、出願中1件となっている。

■今後の展開

  1. 企業化の形態及び方法。(排出者及び処理業者の積極的な参画が望ましい)
  2. 大量生産設備の改良。(未開の分野であり、産業廃棄物であるため)
  3. 工場の規模、立地場所及び条件。(廃棄物の収集・製品の運搬)
  4. PR、市場及び製品の開拓。(積極的使用に対するユーザーの理解を得る)


代表者名 代表取締役 豊蔵 健夫
住所 〒920-0867 金沢市長土塀3丁目13番8号
TEL 076-231-4823 FAX 076-261-0464

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