技術ふれあい’98
和紙を素材としたニット製品の開発
「カミール」
新日本テックス株式会社
 代表取締役 木村 武司

■技術開発の背景

 石川繊維産地の活性化には、内外に誇れる「メイド・イン・イシカワ」製品を企画提案することが不可欠である。現在、ダイオキシンや環境ホルモン等が大きな社会問題となっている中で、より衛生的・健康的な繊維製品が求められている。そこで、「環境に優しい」を開発テーマとした新製品の開発を目ざして検討を重ねた。その結果、天然素材であり、焼却処分しても有害物質の発生が少ない和紙に着目し、これを用いたニット製品の開発に取り組むことにした。

■技術開発の内容

 既存の和紙は、そのままではニット工程で切れてしまう。そこで、岐阜県特産の美濃和紙業者から特注で2o幅の和紙を取り寄せ、これを特殊撚糸して、機械編みでも切れない様な編み糸に加工した(弊社では当加工糸を「カミール」の名前で商標登録)。さらに、米沢ニット(石川県志雄町)において、編み機をカミール糸に合わせて工夫・調整し、通常の糸と同様に自由なデザインの商品の製造を可能にした。これらの結果から、全国で初めて和紙100%の糸を用いたニット製品を開発することができた。

■製品の特徴

試作したサマーセーターは、

  1. 吸湿、吸汗性に優れている。
  2. 軽くて洗濯にも強い(30回の洗濯実験でも型くずれしない)。
  3. 外観や風合い(手触り)は麻のようであるが、しわになりにくく、ちくちくしない。
  4. ソフトタッチでアトピーや、にきびにも優しい。
以上のような特徴があり、また、汗、洗濯、耐光、水、摩擦等各種染色堅ろう度も、天然セルロース繊維素材と遜色なく問題はない(石川県工業試験場の試験結果より)。
 カミールは、環境や人にやさしいエコロジー対応の商品作りを可能にする。

■今後の展開

 壁紙、インテリア、衛生製品等に向かって開発中である。


代表者名 代表取締役 木村 武司
住所 〒929-1064 鹿島郡鹿西町能登部下59部18番地
TEL 0767-72-3272 FAX 0767-72-4162

* トップページ
* '98要旨集