技術ふれあい’98
特殊加工を用いたカジュアルウェアの開発
「造形エンボスの開発」
加越産業株式会社
 専務取締役 安部 俊和

■技術開発の背景

 最近のカジュアルウェアのトレンドは、デザイン・柄のはっきりした素材が嫌われる傾向にあり、素材自体の凹凸感・表情感が求められている。また、この消費不振の中で、目新しい物、他人が持っていない物しか購入意欲をそそられないのは当然のことである。その中で、生地に凹凸をつけるエンボス加工は楊柳やデシンのシボ立ての補助として使用しているが、デザインを付加した場合型代が1デザイン80万円〜100万円と高価で自由なデザインが出来ないことが多かった。また、型による凹凸が少なく高級感という点で今一つであった。

■技術開発の内容

 神戸電気工業叶サの平面プレス機を、当社のアイデアにてプレス面を大型に改良し、生地原反を縦方向に連続で加工出来る様に設計製作した。また、工業試験場の指導により、金型の製作に関して、金型台と上記プレス台とを一体化することで、通常100万円掛かる所、生地問屋等が気軽に発注できる20万円程度におさえることが可能となった。デザイン的には5p程度の模様が生地幅全面にプレスされている形状が主流であるため、小さい金型をプレス面全面に張りつける方法を考案し、製作にあたり北陸ケーティーシーツール鰍ニ開発に取り組み、ロストワックス方式にて金型を作製することにした。ロストワックス用の母型は、特殊合金のエッチング方式を採用しコストの低減を図った。試作エンボス機にて加工した所、良好な結果を得、コストも当初の目標を達成することが出来た。

■製品の特徴

 今までのエンボス加工に比し非常に深い陰影のある凹凸が、ポリエステルを始めレーヨン等化合繊を含め、生地全幅にて連続的に施すことが可能である。
 金型は小さな金型の組み合わせであり、2種類以上の金型を組み合わせることによって色々な模様が表現出来、最近の小ロット化に対して有効である。また、金型の費用も従来の1/4〜1/5となり、金型費用の償却も容易である。

■今後の展開

 今回は、カジュアルウェアーを中心に開発を行ったが、現在、鞄、靴用に引き合いが多く、また金型サイズを大型化しカーテン等インテリア関係にも展開したい。


代表者名 代表取締役 安部 克彦
住所 〒922-0004 加賀市大聖寺上福田町に77-4
TEL 07617-3-3300 FAX 07617-3-3060

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