無鉛和絵具の低温化が可能に  ―無鉛和絵具の普及拡大へ―

 食品衛生法における陶磁器製品からの鉛の溶出規格基準の改正(平成20年7月31日)が実施され、無鉛和絵具の使用ニーズが大きく高まっています。工業試験場では改正に対応するために、平成16年度にいち早く無鉛和絵具を開発しましたが、従来の和絵具に比べると、無鉛和絵具は焼成温度が約50℃高く、焼成時の作業性や焼成回数の増加による製造コスト増の問題がありました。そこで、陶磁器業界が使いやすいように製造工程における無鉛和絵具の焼成温度を従来の鉛含有絵具程度にする低温化へ取り組みました。

 無鉛和絵具は、母材となる無色透明な無鉛フリット(ガラスの粉砕物)と色素からできています。そこで本開発では、無鉛フリットの根本的な見直しや色素の検討を行いました。絵具の透明性、発色、耐久性等を試験した結果、従来の絵具の焼成温度である800℃で使用できる絵具を開発しました。成果を九谷上絵協同組合へ技術移転し、現在では、製造・販売が始まっています。

 無鉛和絵具や上絵具についてご質問のある方は、気軽にお問い合わせ下さい。


開発した無鉛和絵具を使用した試作品

 

担当:九谷焼技術センター 木村裕之(きむら ひろゆき)

専門:陶磁器

一言:鉛溶出の規制値が厳しくなりました。法令を遵守しましょう。