高温加熱顕微鏡の紹介 ―材料の高温時の状態を観察―

 高温加熱顕微鏡は、材料の加熱時の変化を視覚的に観察する装置です。材料の熱的変化を測定する方法としては、示差熱測定や熱膨張測定が良く知られていますが、高温加熱顕微鏡は、試料の加熱時の変化を直接観察する装置です。任意の温度でカメラ撮影をすることも可能であり、高温加熱可能な投影機と考えると良いかもしれません。加熱温度は最高1500℃まで、加熱速度は毎分20℃まで可能です。

 写真は、装置の外観と試料の加熱前と融解時の状態です。試料の後方から光をあてた際の影(投影像)と同時にその大きさが記録されます。1目盛は0.5mmで、写真像から収縮率などの解析も可能です。

 この装置の用途としては、陶磁器等の窯業分野での釉薬の融解温度測定があり、他の分野では、加熱過程での揮発性物質(例:有機バインダー)が及ぼす収縮への影響を検討した事例もあります。古くから利用されているアナログ的装置ですが、試料を直接的に観察できるため、これまで見落としていた物性の発見ができることもあり、他の熱分析で得られたデータの補完などにも利用が可能です。

 この高温加熱顕微鏡は、国内の公設試験場では唯一稼動する装置ですので、利用を希望される際は一度ご相談ください。

装置外観(左)、撮影像(右上:加熱前、右下:融解時)


担当:九谷焼技術センター 高橋 宏(たかはし ひろし)

専門:セラミックス、陶磁器

一言:陶磁器分野以外でも相談をお受けします。