蛍光X線分析装置の活用事例  ―有害物質管理、異物分析、材種の定性判断に威力―

 工業試験場では、開放設備として、金属、無機成分の定性分析を行う蛍光X線分析装置を導入しました。本装置は有害元素の分析や、食品中等の異物分析、材料の定性判断などに威力を発揮します。既に、企業の皆さんに利用していただき、簡便、迅速、非破壊など本装置の特徴と有効性を体験していただいており、好評を得ています。 以下に代表的な活用事例を紹介します

 (1)有害物質管理:RoHS指令、ELV指令に対応する有害物質 (Cd,Pb,Cr,Hgなど) の管理に利用でき、迅速なスクリーニング分析 (基準値に対する安全を見越した大小判定) が行えます。また、鉛フリーはんだ実装基板中に修理等で共晶はんだが混在するような場合には、マッピング(面分析)機能を使うことにより、ユニットごと非破壊で効率のよい分析ができます。

 (2)異物分析:製造工程で発見された異物、食品中から発見された異物などの定性分析が行えます。サブミリメートル以上の大きさの試料であれば分析できます。

 (3)材料・材種判定:本装置では金属材料の材料判定を迅速に行うことができます。さらに、標準試料等の比較試料を用いることで、精度の良い分析も可能です。

 最近は、品質保証に対し企業自らの取り組みがこれまで以上に求められるようになってきています。工業試験場では、作業性の向上、自社の作業基準づくりへの支援といった利用者の皆さんからの要望に応え、データーベースやノウハウを蓄積しているところであり、ぜひご相談ください。


分析例:基板上はんだ中のPb(鉛)

担当:化学食品部 笹木哲也(ささきてつや)

専門:分析化学、有機化学

一言:ぜひ一度、本装置をご利用下さい。本装置の使い勝手と有効性を体感してみてください。